翻訳論―言葉は国境を越える価格: 1,890円 レビュー評価:5.0 レビュー数:1 産業翻訳家として非常に興味深くこの本を読みました。
「翻訳論」と言っても、堅苦しい理論ではなく、かと言って細かいテクニックを紹介する本でもありません。段落毎の主題の読み取りや文章全体の筆致等、翻訳で最も基本的な部分でありながら忘れがちな課題を、丁寧に分解して説明してくれます。新聞記事等、比較的長めの文章を題材に使い、具体的に理解し易い構成だと思います。実際の翻訳に役立つことは勿論、翻訳の「伝達可能性」についても考えさせられる本でした。 |
カロリング・ルネサンス (中世思想原典集成)価格: 5,913円 レビュー評価:5.0 レビュー数:1 本書はエリウゲナ「ペリフュセオン(自然について)」を、抄訳ではありますが収録しています。(英語ならSheldon-Williamsの訳を補訂したJohn O'Mearaによる全訳が出版されています。)生成変化を超える領域を含めた現実全体を「普遍的自然」と呼んで、その区分とネオプラトニズム的な還帰を論じた独特の形而上学体系であり、後代のエックハルト、クザーヌス等の諸著作と並び、西方キリスト教において最も高度な観点に到達した書物の一つであることは疑問の余地がありません。エチエンヌ・ジルソンをはじめとする二十世紀の中世哲学研究者たちから絶賛されているのも当然と言うべきでしょう。 |
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市場社会とは何か―ヴィジョンとデザイン価格: 2,550円 レビュー評価:5.0 レビュー数:1 昨今の世界経済危機を契機として,市場経済でなく資本主義経済なる概念がふたたび多用されている印象がある。地球規模で進展する市場経済の実質は,「グローバル資本」なくして深部から理解することは不可能だ。利潤率の低い所からより高い所へ駆け巡るグローバル資本の存在は,資本主義システムに深刻な不安定性と経済格差を帰結する。われわれは資本主義社会を放棄すべきなのか。それともそれと真摯に向き合いながら新たな市場社会像を模索すべきなのか。重要な現代的問題が浮上している。
とはいえ,「市場社会」がそもそも何であるかを正確に理解していない可能性は高いだろう。それゆえ,今一度冷静に |
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